【最愛のデジタルピアノP20が死んだ】

割と物持ちは良い方だ。
15年以上使ったデジタルピアノが先週、死んだ。ノリノリで弾いていたら、指にコップが引っかかり、茶をぶちまけてしまった。

知る人の少ない、パナソニックP20。ハンマーアクション鍵盤でスピーカーレス、音色は2種類だけの異色の存在だった。当時はヤマハとローランドが強かったが、10万円台の製品は皆ダンパーを使った鍵盤ばかりで、ネバっとした触感がどうも釈然とせず、買う決心が付かずに、電話帳で大きめの楽器屋を探しては(当時はネットで店を探せなかったので)、地図を片手に店から店をさすらう週末を何週間か続けていた。

P20は断然違っていた。心斎橋の楽器屋で初めて触って15秒で決めた。鍵盤から指が離れる瞬間(離鍵時)の感触が爽やかで、当時の基準ではデジタルピアノ離れしていた。実物のアップライトピアノより3割くらいはタッチが軽かったので、リアルというのとは少し違う。が、とにかく弾きやすい。マイナーメーカーだったパナソニックのデジタルピアノを買った人は、たぶん店頭で、私と同じ感触と感想を抱いていたと、私は勝手に思っている。

さすがに今となっては音源は古臭く、外部音源経由だが、それでも鍵盤タッチに別段の不満は無く、15年以上のつきあいだった。親友と言っても良かっただろう。今は、もう全く音が出ない。私が殺したようなものだ。分解清掃したがダメだった。修理するにも部品も無いだろう。パナソニックはデジタルピアノから撤退しているし。

半導体製品で15年前といえば、化石だ。今では、P20より音色やタッチのリアルなデジタルピアノがいくらでもある。先週末、物色しに出かけた家電量販店で、ちょっとビビった。3万円台の最低機種ですらアクションハンマー鍵盤で、スピーカー性能以外は別にケチの付けようが無かったからだ。そりゃぁ、周りの客がドン引きするほど弾き込めば、アラは出てくるだろうけどさ、3万円台で細かいこと言うなよ、という感じ。これが価格競争の末路で、パナソニック様も撤退するわいな。

出直しだ。品は良いはずなのに、なぜか微妙にバカにされたような気がする。車で言うと、マークⅡ(マークXでもクラウンでもない)やローレルの新車が78万円で並んでいるような感じ(逆に分かりづらいか)。とにかくこれは現実であり、出発点だ。断じてゴールではない。つまり量販店で買ってはいけない気がした。

自分でも意味が分からないので、買うのは保留し、少し2CHを観察することにした。当然だが、イロイロとボロカスに書かれているではないか。プライスリーダーのC社って恨まれてるなぁ。新品を買うのは楽しいはずなのに、なんだか、気分がどんよりとする。こりゃヤフオク価格.comも細かく見て目を三角にせねばならんがな。確かに格段に安く高品質になったけれど、データマッチョだけが買い物を楽しめる時代になっちまった。もっと楽しく買い物する方法は無いのだろうか?