【日本サッカー史上最高の、夢のような試合】


鳥肌が立った。これ以上望み得ない、日本サッカー史上、最高の試合。ヨーロッパ予選1組の1位相手に、何から何まで、すべてが上手く噛み合った。先制、中押し、ダメ押しと、「こんなに上手く行って良いのか」、と夢見心地で見た。

最初の15分は、デンマークに好き放題に球を回されてしまった。特にトマソンをゴール前でフリーにする、危ないシーンが多かった。あの時間帯に失点していたら、試合の様相は全く変わっていただろう。

結局、序盤に点差が付いたので、デンマークは後半早々からパワープレーを強いられ、DF、MFのマークが足りなくなり、やがてDFのスタミナも切れて、……と『サッカー負のフィードバック』にハマってしまう。

ただ、ロングボールの精度は、日本が完全に上回っていた。案の定、ヘッディングの空振りが多い。頭一個分、球筋が伸びている。今大会の高地の試合に限り、ロングボールを放りんでくれたのは、むしろ、日本側に好都合だったと思う。ヘディングでは中澤、闘莉王が競り勝っていた。前半冒頭のように、低くて速い球を回された方が、厳しかった。

本田のFKや遠藤の2本の創造的なFKが象徴的だったが、日本側は、ボール特性と高地の弾道の研究が、ずいぶん進んでいたように思う。今大会は、『FKの直接ゴールが決まらない』という傾向がハッキリ出ていたので、その経験則を自力で覆す、2本のFKで試合を決めたのは、本当にクリエイティブで素晴らしいことだ。

何から何まで出来すぎだ。DFのスタミナ決壊問題も、解決したようだし、攻撃面でも2列目からの鋭い飛び出しから決定機を何回も作れていた。プラスの要素は出し尽くしてしまったという、贅沢な不安だけ。


本番直前まで半年くらい、本当にひどい内容の試合が続いて、期待も愛想も尽きたと、冷たく見ていたんだけれど、あきらめちゃぁ、イカンねぇ。うまく行かない時は、下を向いちゃいかん。前を向かなきゃ。苦しい季節に選手や監督たちが下を向いていたら、今は無かった。人生に通じるものがある。うん。