【iknow!の有料化; 〜ソフトウェアはタダでもなければ、永遠に残るわけでもないみたいだなぁ〜】

英語学習サイト;iknow!(Smart.fm)には、心の底から感謝している。ここ2年、ほぼ毎日30分以上使ってきたし、今日も明日も使うだろう。だから、有料化には文句は無い。月1000円は、まぁ妥当だ(500円くらいなら高校生の小遣いでも出来るだろうが)。問題は、バージョンアップし、有料化したのに、機能は低下していることだ。


今回の有料バージョンになって、ディクテーション機能がバッサリと削減された。辞書機能も、例文へのアクセスが無くなった。マウスやキーの操作性も悪化したし、操作感の継承をまるで考えられていない。操作の文法が違うのだ。つまり、iknow!という名前と文字データと音声データだけが同じな、別のソフトになってしまった。


最近の私の学習ルーチンは、単語にはさほど不自由しなくなったので(というか抽象度の高い単語は、iknow!の丸暗記と相性が悪いので)、単語暗記の量を減らし、もっぱら例文のディクテーションばかりだ。というわけで、あと2ヶ月で私は、iknow!とおさらばするのかどうかを、本気で考えなければならなくなった。


iknow!は、正直、最初のバージョンが一番良かった。ユーザーの挙動をよくイメージできていた。それが、バージョンが上がるたびに、操作性や反応速度、機能が劣化してゆくのは、不思議だった。社内の力学の推移を物語っているのだろう。


今回、教えられたのは、ソフトウェアは永遠じゃない、特に「ソフトウェアの使い勝手」は、経営陣のサジ加減によって、あきれるほど簡単に劣化する、ということだ。例文や音声データなどは、多分、永遠に使い回しが出来る。だが、「使い勝手」は、丸ごとコピーではコピー出来ない。単純なソースのコピーではなく、意味を理解して移植しなければ継承できない


今回のiknow!は、ソースコードを持っているのに、「使い勝手」を継承できなかった。これは本質的な問題なのではないだろうか? つまりソフトウェアの本質は、「操作性」であり、操作性は、操作した経験の有る人でないと、コードの挙動の意味を理解できない。そこで移植の仕様を決める会議が開かれるたびに、社内で力を持っている人の「安く済ませれば?」という大きな声に従うことになる。


そして、iknow!は「操作性」というソフトウェアの本質を知らない出資者or経営者による、資本の力を借りるしかなかった。ソフトウェアは、技術的には無限にコピー可能で、永遠なのかもしれないが、政治的/利権的には、そうではないみたいだ。

感動的な、良いアプリケーションだったのにねぇ。皮肉でもなんでもなく、私は、本当に、心の底から、iknow!には感謝している。もしiKnow!の登場が、10年か15年早ければ、私の人生は、根底から変わっていただろう。


愚痴を言うより、今日のディクテーションをしておこう。継続だけが力なのだと、教えてくれたのも、iKnow!だった。