【突然ですが、消費を刺激すべく、抜本的な税制改革を妄想してみた】

突然ですが、税制改革です。まず、消費にテコ入れする。そのために

個人消費は、基本的に全て控除の対象とする。
消費税は撤廃もしくは、1%とする(ゼロにしない戦術上の理由は後述する)。

私は消費税の増税には反対だ。消費が経済のボトルネックになっているのに、消費への課税を強化するのは論理的におかしい。むしろ、経費として認めることで、消費拡大をはかるべき。その際、領収書を個人が集めるのは、あまりに面倒なので、履歴が残るクレジットカード決済は自動的に控除の対象とするシステムをカード会社に義務付ける。

控除の威力を強めるために、いくつか補足する。

所得税の累進を強化する
海外での消費(正確には円でない決済)は、控除の対象にならない

所得税は、以前のように、最高9割とかでも構わない。これだけ経費の範囲が広いと、もはや「所得への税」という概念すら怪しいだろう。「宵越しの銭税」とでも言うべき。この税制改革のターゲットは高所得者の消費拡大である以上、消費しない高所得者には、ペナルティを課す。

所得税を上げると、芸能、芸術のような、年度によって収入に大きな差が出る職業は不利になる。対策はとしては、

個人消費は、経費として、10年繰り越せる
国債の購入は、消費と同様に、所得控除の対象になる。

ドカンと、ひと山当てた年は、国債を買うことで、所得税を節税でき、翌年以降、少しづつ国債を売ることで、長期の所得を平準化することができる。もちろん、この場合の売却額は、全額、所得税の課税の対象となる(もちろん消費すれば控除される)。ここは、現行制度との断絶がとても大きい分野なので、移行措置を煮詰めないといけない。

経費の繰越というのは、たとえば、大きな手術をしたときや、車や家を現金で買った時の出費を、翌年以降の経費に繰り越すことで、翌年以降、控除枠を受けられるようにするもの。


退職金への税金の優遇は廃止する。
退職金への優遇は、国債を買えば必要無い。


※※※↓注;誤解があったので、改訂し、撤回します。※※※
証券税制は、現状では分離課税になっている。所得税と一元化するのが望ましいが、上記の国債以外の株や債権の分離課税を維持すると仮定した場合、

株や債権の購入は控除の対象としない。

とするほうが良いだろう。理由は、売却益が所得税の対象にならないから。株や債権の利益は既に一時所得の課税対象となっていて、所得税と別系統になっている。現行制度からの移行が難しい。※※※↑注;誤解があったので、改訂し、撤回します。※※※


宝くじ、競馬、競輪、パチンコなどへの出費は、控除の対象にならない。

「控除の対象から外す消費」は、税制戦術上の要となる。

贈与税相続税は撤廃する。

そのかわり、贈与と相続による所得は、消費による控除を受けられない。すべて所得税に繰り入れられる。

年金と健康保険は、税金に一元化する。

現行制度上では、年金と健康保険は、人頭税に近い逆進性を持つ。年金は大きく負担した人が、より大きく受益できるにもかかわらず、保険料負担が全額所得控除の対象になる現行制度はおかしい。健康保険の保険料も全額所得控除の対象になる上に、保険料には上限がある。どちらも、低所得者に不利な制度だ。事務手続き上のロスもある。そこで、所得税に一元化する。

法人税は、現行の税率を維持するが、法人が国債を購入した場合も、個人と同様、控除の対象とする。

これで、企業の内部留保に課税されない税制ができる。そして国債の引き受け手が激増する結果、政府は、利率がマイナスの国債を発行することすら可能になるだろう。


発生した控除枠は、売買できる。

控除枠は、繰越できるだけでなく、売買もできるようにする。お金の余っている人(法人)は、専用市場を通じて、控除枠(二酸化炭素市場のように)を買うことができる。しかし、売り手の数と買い手の数を鑑みるに、交換レートは買い手に厳しいものになるだろう。なにしろ、消費不足なのだ。

戦術上の理由で、消費税は、税率を1%に維持する。

消費が控除されるとなると、ペーパー商店を設立して、架空の領収書を偽造するインセンティブが生まれる。循環取引も生まれるだろう。そこで、法人税と消費税の申告を通じて、挙動の不自然なペーパー商店をトラッキングする。税務署は、三つの視点から「不自然な消費」をプロファイルする。法人税側と、所得税側と、消費税側。


さて、こんな奇怪な税制を導入して、日本はどうなるのか? は私の想像力を超える。ただ、この思考実験の目的は、あくまで、経済のボトルネックである個人消費を拡大することである。そのためには、消費を経費と認めるような、大胆なインセンティブが必要だという考えは変わらない。
長期的な影響としては、国債と税収の違いの垣根が下がって行くのではないか、と思う。税率の変わりに、国債の売買レート(負の利率になることで国債が「税収化」する)、控除枠売買のレートを操作することが、重要な金融政策上の戦術になるはずだ(現在、公定歩合の操作などの金融政策は無力化しつつある)。そして歴史的には、現金決済時代の完全な終焉となるだろう。個人が大きな消費財を現金で決済すること自体、信用的にグレーな(脱税を怪しまれる)行為となるのだから。

課題としては、

●国民背番号制度の導入が前提になること
●個人売買の扱いはどうするのか?露天商は? 
●証券税制との統合が、中途半端(現行税制との断絶が大きすぎる)
●生命保険、損害保険はどうしよう。
●土地税制との統合が、まるで手付かずになっていること
●宗教法人への出費を控除を認めるべきかどうかの神学論争、ないし泥仕合
●消費税のレセプト導入失敗のときみたいに、政局上の理由で、事務手続きに大穴が開きそうな予感がする。

などがある。この辺は、我輩の不勉強ないし、限界でありまする。読み返して、「俺、頭、大丈夫かなぁ」と、なんだか心配になってまいりました。まぁ、100年くらいかかるでありましょう。そのうち、誰かがgoogle経由で見てくれて、「ほぉ、おもろいな」と思ってもらえれば、よろしいと考えます。とにかく私は、消費税の増税には反対であります。なにしろ、経済のボトルネックは消費不足なんだから、消費を萎縮するように誘導する税制改革はおかしい。